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第21話
論旨をうまく伝えよう!(Part 2)

2)一つのセンテンス内に、複数の内容が混在しているケース
法律の条文を読んだことがある方は、大勢いらっしゃると思います。
私はライターの仕事を始めてから、ごくたまにですが、
『六法全書』で調べ物をするようになりました。
条文を読んだとき、おそらく大半の人は、
「一つのセンテンスが長過ぎて、意味を見失いそうになる」
と感じられたのではないでしょうか。
もちろん私もそうでした。

法律の場合、裁判などで、表現の不備による盲点を突かれないように、
「あらゆるケースを想定して説明し尽くさなければならない」
という特殊な事情があります。
そのため、何もかも一つのセンテンスに押し込んでしまって、
まるで哲学書のように難解な文章ができあがるのですが、
いずれにせよ、お世辞にも読みやすいとはいえません。
通常の文章では、いたずらに読者を混乱させないために、
センテンスが長くなりすぎないよう気をつけることが大切です。

また、法律のように長いセンテンスでなくても、
複数の事柄を無理につなげると、読んでいて違和感が感じられ、
意味がわかりにくくなることがあります。
例えば、
「先週の日曜日は、マイカーを洗車してからデパートで買い物をし、
友人宅を訪ねたが、それは2年ぶりのことだった」

と書くと、「2年ぶり」なのは、
洗車したことなのか、デパートに行ったことなのか、友だちに会ったことなのか、
読者は一瞬迷ってしまう可能性があります。
もちろん普通に考えれば、おそらく友人に会ったことだろうと想像できますが、
この文だけでは「100パーセントの確信」は得られません。
つまり、一つのセンテンスに複数の内容を盛り込んだために、
「誤解を生みやすい文章」になってしまったのです。
この場合、
「先週の日曜日は、マイカーを洗車してからデパートで買い物をし、
友人宅を訪ねた。その友人に会うのは、2年ぶりのことだった」

と、二つのセンテンスに分けるとよいでしょう。あるいは、
「先週の日曜日は、マイカーを洗車し、デパートで買い物をしたあと、
2年ぶりに友人宅を訪ねた」

というように、「2年ぶり」がどの部分にかかるのか、
はっきりわかるように文を組み立てれば、誤解を防ぐことができます。

複数の事柄が混在するセンテンスを書くときには、
読者に誤解を与えないように、組み立て方を慎重に考えるようにしましょう。
「これくらい誰にでもわかるだろう」
「こんなこと誤解する人はいないだろう」
などと油断していると、
「意図が正確に伝わらない文章」をうっかり書いてしまうことになります。

◆ヒント&ポイント◆
「法律のように、一つのセンテンスに何もかも盛り込まないほうがよい」
「複数の事柄が混在するセンテンスは、油断せず慎重に組み立てる」

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