ヒットした例を教えて! 事例紹介『STAP細胞 残された謎』

ご質問ありがとうございます。
今回は世間を騒がせた、あの話題をテーマにした本をご紹介。



STAP細胞 残された謎
著者:佐藤貴彦
2015年12月発売


【内容紹介】
世間を騒がせたSTAP細胞騒動。
2014年1月に論文が発表されて以来、小保方氏へのバッシングが続いた。
しかし、本当になかったのか──。

光る胎盤はどこへ行ったのか?
なぜ再現実験は失敗したのか?
矛盾した調査報告がなぜ受け入れられたのか?
様々な観点から、真相の全容に迫る。

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自費出版は企画出版に比べると著者の知名度が低く、書店での販売は厳しい面があります。そのため増刷されるようなケースでは、SNS、ホームページ、講演・セミナーの機会など、書店以外の場を活用された方が圧倒的に多いです。

その点、本書は書店での販売のみで数千部を売り上げました。
いったいどんな要因があったのか?
4つの要因をあげて分析してみたいと思います。

①旬で「検索に強い」テーマ

本も他の商品と同じで、まずは存在を知ってもらうところから始まります。とはいえ、実際の店舗では過去の売上実績が重視されますから、実績のない著者の本が目立つ場所に陳列されるのは至難の業。そういった意味で、インターネットで検索されやすいという点は非常に重要です。

本書が発売された当時、STAP細胞は世間的に大きな注目を集める話題でした。検索キーワードが非常に絞られている上に専門性が高く、ライバルも比較的少なめ。ネット書店で販売する上ではきわめて有利な状況だったわけです。

※さすがにここまで条件が揃うことは稀ですが…いまの時代、どんな本を書くにしろ、検索性は意識すべきでしょう。同じ内容でも、『お米を抜くだけダイエット』と、『低糖質ダイエット』では印象も、調べやすさもまったく変わります。頭に「30歳からはじめる!」とつけたほうがいいのか。「低糖質」は「ロカボ」の方がいいのか等々、工夫の余地はたくさんあります。

②先行発売の優位性

本書の発売は2015年12月。問題の渦中にあった小保方晴子さんが学位を取り消されてから、わずか1ヶ月後のタイミングでした。その後、2016年2月に小保方さんの著書『あの日』が発売され、関連書籍が多数出版されていくことになります。

これほど話題性のあるテーマでは、後発本はどうしても「便乗」「後追い」といわれるリスクがあります。極端な話、小保方さんの本を引用しながら批判するだけでも、1冊の本ができてしまうわけですから。本書が小保方さんの著書以前に出版されていたのは、信用面で非常に大きなことでした。

自費出版の場合、発売のタイミングは著者が決めることができます。急ぐにしろ、良きタイミングを待つにしろ、テキパキと校正を進めて校了寸前の状態にしておくのが理想的ですね。

③中立的な内容

さて、ようやく内容についてです。いくら抜群のタイミングで発売されても、中身が伴わなければ台無しです。本書の場合は2018年11月末現在でアマゾンレビューは28件、うち25件が★5つと、大好評をいただきました。

情報量もさることながら、本書は中立な視点で書かれた点が評価されたように思います。小保方さんへの激しいバッシングに対して「本当に彼女がすべて悪いのか?」と懐疑的な視点をもちつつも、「彼女は絶対悪くない!」と感情的に擁護するわけではありません。事件の当事者や、報道に携わった記者でもない。個人の純粋な疑問から発している点が、読者の共感を呼んだのかもしれません。

もちろん著者自身に、理化学の素養と文章力があったのは大前提です。専門的な問題をうまくかみ砕いて分かりやすく書けるかどうかは、どんな本でも大切な要素ですね。

④販促によるプッシュ

最後は、販売実績を踏まえた販促の活用です。

アマゾンで長くジャンル1位をキープしていたことや、好評のレビューが多くついた点を強調してFAXDMを制作。書店に配信しました。ネット書店の実績によって、当初は不利だったはずのリアル書店にも存在が周知されることになったワケです。


(実際のFAXDM)


どんな商品も売り時は一瞬。チャンスがあれば、積極的に販売PRオプションを利用してみるのがいいでしょう。


以上、販売で成果を上げた一例をご紹介しました。本書は数千部を販売して利益を上げ、続編『STAP細胞 事件の真相』も発売。理想的な流れになりました。タイトルのつけ方、販売のタイミング、読者に合った文章、機を逃さない広告。販売を重視する方は参考にしてみてくださいね。


配信日:2018年11月30日

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