自分史って何? なんのために書くの?

ご質問ありがとうございます。
今回は自費出版の王道「自分史」について、ルーツやさまざまな効果をまとめてみたいと思います。根強い人気の秘訣が分かりますよ。

自分史のルーツ

自分史はもともと、第二次世界大戦後に一般市民がそれぞれの体験を書き残した運動に発祥します。事実を風化させないため、「記録」としての意味合いがきわめて強いものでした。

1970年代に入り、歴史家の色川大吉さんが『ある昭和史―自分史の試み』という本を出版すると、1種の「表現」として認められるようになります。中高年を中心に自分史ブームが起こり、ガイド本や講座も登場。個人が本を出すという発想が生まれました。

それから現代に至るまで、新たに注目されたのは書くことによる「学習」の側面です。自分の過去を見つめ直し、気持ちを落ち着けて書くことで、精神面を向上させる効果があると言われるようになりました。

記録・表現・学習と、自分史は時代ごとに異なる意味で認められ、親しまれてきました。もちろん読者の立場からすれば、ひとつの作品・読みものとして面白いという見方もできますね。自伝もしくは自伝的小説から生まれた文学作品は、数え切れないほど出ています。

自分史を書くことで得られる効果とは。

では、実際に書くことで得られる効果とは何か? 1冊の本になるまで、工程ごとにまとめてみました。

素材集め → 思い出す作業が認知症予防に

自分史制作は、高齢者向けのワークショップの定番です。本、音楽、流行った遊び。若いころに慣れ親しんだ事柄を思い返す過程は“回想法”と呼ばれ、「自分が自分であること」を取り戻し、認知症やうつ症状を和らげる効果があるといわれています。

原稿整理 → 自分を理解する、癒やし効果

学校や、就職活動の分野で見直されているのが、この自己分析効果です。過去の経験を落ち着いて分析することで、自分本来の長所や短所、価値観を見直すことができます。多くの場合、「自分が思う自分」と「他人から見られている自分」はギャップがあるもの。どんな世代の方でも発見があるでしょう。

また、人生は楽しいことばかりではありません。辛い出来事を客観視することで気持ちの整理がついたり、当時は理解できなかった周囲の想いに気づくことも。大切な人との思い出をもう一度生きることもできます。自分史の制作はセラピーでもあるのです。

執筆 → 表現力、アウトプットのスキルが身につく

なにしろネタ元が自分ですから、書くことが浮かばない、というケースは少ないはず。つまり他のジャンルに比べて格段に書きやすく、アウトプットに集中できるのです。どんな形であれ1冊分の本を書ききることができれば、文章の表現力や構成力は格段に向上します。

印刷・製本 → 生きた証を残す、家族の財産になる

人には生きた証を残したいという願望があります。写真や記憶を本という手に触れられる形にすることで、確かな満足感が得られるでしょう。
また、自分史は同時に「家族史」でもあります。テレビ番組『ファミリーヒストリー』(NHK)が人気を集めるように、子どもや孫、親戚が、あなたの本を財産に自分のルーツを学ぶ日がくるかもしれません。

以上、自分史の効果をまとめてみました。「特に人に見せるほどの思い出もなくて…」と仰る方も多いですが、ただ書くだけでも大きな効果が得られるのです。健康維持のため、あるいは終活のため。国立国会図書館への納品を目標にしてもいいでしょう。まずは気軽にはじめてみてはいかがでしょうか。


配信日:2018年11月5日

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