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服部忠弘さん

03「医の旅路はるか
曲直瀬道三とその師田代三喜篇」
「医の旅路るてん
曲直瀬玄朔と聖医父曲直瀬道三篇」服部忠弘さん

「医の旅路はるか」「医の旅路るてん」

ジャンル:小説  発行:2011年6月 3刷出来

「医の旅路はるか
曲直瀬道三とその師田代三喜篇」

2013年度第16回日本自費出版文化賞小説部門入選
日本図書館協会選定図書

ジャンル:小説  発行:2015年11月

「医の旅路るてん
曲直瀬玄朔と聖医父曲直瀬道三篇」

戦国の名医を主人公に日本医学のルーツに迫る! 足利将軍、毛利元就、信長も舌を巻いた室町・安土桃山期の天下一の名医、曲直瀬道三の足跡をたどる、本格派歴史エンターテイメント小説。

この本を書いたことで、思わぬ未知との遭遇もありました。
なんと、主人公である曲直瀬道三の子孫に出会えたんです。

Parade Books 今までに3作をお作りいただきましたが、自分史はともかく、歴史小説に挑戦しようと思われたきっかけを教えていただければと思うんですが。
著者 私は、「懸け橋」っていう自伝を書いていたんですね。
Parade Books 10年前ですね、「懸け橋」は。
著者 そう、10年前になりますね。私は、実家の茨城県の古河っていうところにお墓があって、こういうものが書けましたってことでお礼参りをしたんです。その時、まぁ、お告げか何かわかりませんが、私の脳裏にこう、ふっと浮かんだのが、もっと世の中の為になる本を書いたらどうかっていうようなね、そういうものが浮かんできたんですよ。自伝だけで満足して終わっちゃいけないんだってね。それが、何かを書いてみようというきっかけになったんですよ。
Parade Books 最初から歴史の本を書こうと思われたんですか?
著者 いえいえ、そうではないんです。私の故郷の友達が郷土研究っていいますかね、そういうことをやっていて、古河には有名なお医者さんがいたんだよということをちらっと聞きまして、で、調べ始めたら田代三輝と曲直瀬道三という人が出てきたんですよ。
Parade Books それが出逢いだったんですね。今まで、小説というような、いろいろ想像して書くようなことをしたことはあったんですか?
著者 いやいや、まったくないです。理系ですからね。ただ、日記は書いていました。書くことに対しては、別に抵抗感はなかった。
Parade Books 書くにあたって、資料がかなり少なかったというふうに聞いているんですが。
著者 そうですね。時代が時代ですから。室町時代の後半ですからね。戦国時代ですね。武将の資料というのは残っているんですね。でも、お医者さんの資料ってのはないんです、ほとんど。
Parade Books その後、NHKから「ヒストリア」で曲直瀬道三を取り上げるのに、著者に話を聞きたいって連絡があって。
著者 ええ、電話でだいぶ話をして、その後、NHKはお金をかけてね、かなり調べられたと思うんですよ。だけど、私の本の最後に参考資料というのを載せているので、あそこからほとんど調べてますね。
Parade Books そうでなんですか。私も見させていただいたんですけど、本の方が全然面白いですね。
著者 物足りないんですよ(笑) だいぶ端折ってたから。それと、残念なことにね、NHKは散々私のところに電話してきたのにね、なぜ名前を出してくれなかったのか。
Parade Books 私も最後まで見て、書名ぐらいせめてって。でもあの後、反響で売れましたね。
著者 やっぱりテレビの力って大きいですね。すごいです。
Parade Books 書かれていく中で一番苦労したのは、どんなところでしたか?
著者 史実が少ないから、少ない史実の間をどう埋めていくかっていう、ストーリー性ですよね。あとは言葉遣い。たとえば地方に行ったらその土地の言葉を使う。大阪なら大阪、京都なら京都、長崎なら長崎、その方言を会話の中に折り込んであるわけです。そのほうが、いかにもその場にいて話している、生活しているという感覚が伝わるわけです、読んでる人に。
Parade Books 実際に現地にもだいぶ取材に行かれていましたよね。
著者 ええ、でも私が助かっているのは、大阪に学生時代の友人がいるわけです。彼と話しているとすぐ大阪弁になっちゃうんですよ、私。そのぐらいマスターしていたものですから、書くにあたっては苦にならなかった。
Parade Books なるほど(笑)
著者 茨城弁は自分の故郷のですから。ただひとつ、この2巻目で困ったのは、朝鮮に行ってた時の臨場感はどう出そうか、これを全部日本語にしていいものかと思って、迷ったんですよ。それで、3年で書き上げるつもりだったところ、1年延びたのは、ハングルを1年間勉強したわけです。NHKの講座で。
Parade Books 1年間も! すごいですね!
著者 それでもなおかつ、わからない言葉が出てきたんで、向こうで住んでいた人を紹介してもらって、「この言葉で間違いないですか」というふうに聞いて、多少間違いがあったので、それも補って、織り込んだんです。
Parade Books ご自身で調べた資料もきちんとされてて。
著者 史実をきちんと調べておかないと、私は歴史家ではありませんから、本当の歴史家につつかれちゃいますから。こんないい加減なことを書かれちゃ困るって。自分で行って、写真を撮って。だからいまだに専門家につつかれてません(笑)
Parade Books こちらにもきてません(笑)
著者 ただ、京都の人からね、服部さんが書いたこの場面ですが、このときはあの五重塔は見えなかったんですよって言われたのはショックだった。京都が焼かれちゃって、五重塔も焼け落ちた時だったから、このときはなかったんですよ。後からまた作ったんですよ。その前まではあったけど、焼けちゃったんですよ。って。そこまでちゃんと詳しく知ってる人がいたんです。それは私もご勘弁くださいって手紙出しましたよ。その人に。
Parade Books でも、それだけちゃんと読んで下さってるってことですよね。
著者 だから非常に難しいのは、確かに史実は書かなきゃならないけども、それだけじゃ物語になりませんから、いかにして物語にして、読み手に面白おかしく書いていくかってことですよね。単なる歴史の教科書みたいになっちゃうと読んでくれないですからね。
Parade Books 苦労された分、いろいろな反響がありますね。
著者 一番は、渡辺プロダクションの渡邊美佐さんとの出会いですね。週刊誌に「私の先祖は曲直瀬道三です」って書いてあるのを見て、手紙と一緒に1巻目の本を入れて、事務所に送ってみたんですよね。そうしたら、秘書の方が連絡をくれて。その時、美佐さんの弟さんが曲直瀬家の十六代を継いでいると知って、高知まで会いに行きました。
Parade Books すごい行動力ですね!
著者 電話だけじゃあ埒があかないので、もしなんか資料があるなら見せてくれませんかって言ったら、ええ、どうぞって言うから、ええどうぞって言われても、簡単に、遠いから……(笑)。で、土佐まで行って。信長からもらったと思われる蘭奢待を見せてもらった時は、歴史のロマンを感じましたねぇ。
Parade Books 本を書くことによって、いろんなつながりができてますね。
著者 先日は、恵比寿ガーデンプレイスのウェスティンホテル東京で、恵比寿ロータリークラブの例会があって、そこで講演させてもらって。渡邊美佐さんが会員なんでね。時間と労力を使って書き上げた本のエピソードや苦労話を、皆さんにお話しできるのは、著者ならではの楽しみのひとつですね。
Parade Books 感想もたくさんもらっていらっしゃるようで。
著者 ええ、すごい人もいますよ。感想と一緒に、あなたの本には、これだけの間違いがありましたって。一巻目の時は、2ページにわたって書いてきてくれたんですよ。2巻目にそれを折り込みましたけどね。ありがたいです。今回もやっぱり書いてきてくれて、自分の感想も書いてきてくれた。で、薬草に関しての意見なんですけど、でもこれは私と意見が違ったので、私も癪に触ったから、これに対して返事を書いた。あなたの考えはそうだけど、私の考えはこうですと。ここは感謝します、ありがたいと。
Parade Books そんな交流も生まれますよね。
著者 あとは、魚のお医者さんっていう人とか、渡邊美佐さんからは感謝状もいただいちゃって。
Parade Books 書店やFacebookでも宣伝されてますよね?
著者 書店は、知人に紹介してもらって、地元で2店置いてもらってます。私のFacebook仲間は500人ぐらいいますけれども、最初から積極的にお医者さんや整体の方と繋がりを持とうと思ってやってました。意識的にね。その中で私の愛読者になってくれる方がいるんですね。
Parade Books まったく面識のなかった方でもということですよね?
著者 ええ、そういう人は1巻目を読んで、2巻目も必ず買ってくれますね。
Parade Books 服部さんの場合、最初に自伝を私家本として作られていたので、自費出版というものをたぶんわかってらっしゃったと思うんですが、結構ネガティブなイメージがある方もいらっしゃるかと思うんです。
著者 そういうイメージはあんまりなかったんですね。どっちかっていうと。これを作るにあたっては、やっぱり自分の思う通りの、装幀とかね、かなりやり取りしましたよね。っていうことは、出来上がった時に自分が納得できるものができてるんですよ。たぶん、出版社だと、そんな思い通りにいかないと思うんですよね。
Parade Books そうですね。売るための本を作らなければいけないので、中身に関してももちろん、タイトルさえ著者が決められないこともあるようです。
著者 そうでしょうね。だからやっぱり自分として納得いってるんですね。出来上がった本を見た時に、あぁ、これは自分がこういった、ああ言ったという、納得ずくですから、自費出版は。
Parade Books 自分の思う通りの本を作れるというのが、最大の良さなんです。
著者 そうそう、その点はもう納得で。あぁ、こんなに立派な本になるんだなっていうのもありました。こういう本として、書店に飾られればいいなという気持ちになりましたね。
Parade Books 今後はまた何かイベントとか?
著者 大阪でね、講演をやってくれって言われていて。2巻目の最後に推薦文を書いてくれた友人が、大阪の病院を経営していて、その病院で。先生や事務員とかの関係者の方に向けてね。
Parade Books ますますご活躍ですね! 3巻目を期待される声も多いと聞いていますので、ぜひ私も楽しみにしております!

服部忠弘(はっとり ただひろ)
1943年茨城県古河市生まれ。国際特許事務所勤務、Honda系列会社勤務を経て、現在、楊名時健康太極拳の指導に当たる。東京都八王子市在住。2011年『医の旅路はるか』でデビュー。医道の精神を貫く曲直瀬道三とその師田代三喜の生涯を描き、「日本図書館協会選定図書」に推奨される。

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