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河合洋子さん

09「あの日あの時 杏奈のおばばで嬉しいな」
「想い出の記 人生を恩師と共に歩み来て」河合洋子さん

「あの日あの時 杏奈のおばばで嬉しいな」「想い出の記 人生を恩師と共に歩み来て」

ジャンル:エッセイ  発行:2013年9月

「あの日あの時 杏奈のおばばで嬉しいな」

お孫さんの杏奈ちゃんへ向けたメッセージとして、手紙形式で綴った50話のエッセイ。

ジャンル:エッセイ  発行:2016年6月

「想い出の記 人生を恩師と共に歩み来て」

中学時代の恩師と半世紀以上にわたって交わした文通。その後半の一部をまとめました。

この本に残したことは、全部私の願いであり、祈り。

Parade Books 最初、お孫さんの杏奈ちゃんのことを書き残したいということで、本をつくろうと思ったんでしたよね?
著者 そうそう、杏奈ちゃんが生まれたから。杏奈ちゃんのことを書き残したいなぁと思って。前に2冊ほど印刷所で杏奈ちゃんの写真に短歌と詩を入れてつくったんですけど、本格的に文章を入れるとなると印刷所じゃちょっとまずいかなと。私、助詞の使い方がおかしいから、文章なら出版社にお願いしないとって思って。
Parade Books 出版社は、どうやって探したんですか?
著者 私たち年寄りは、まず昔からの有名な文芸社に行くのね。それで、娘に文芸社に行って本屋さんで売る話になったって言ったら、「家族の恥を全国的に知らせる気?」なんて言われてね。それもそうだねって。身内や友達に配るぐらいにしようかねって。
Parade Books その後、わたしたちパレードブックスが大丸で自費出版のフェアをやった時にお越しいただいたんですよね。
著者 大丸のチラシに自費出版の相談の案内が載っていたので。こちらの事務所にもお邪魔して、ご縁があって2冊出させていただきました。杏奈ちゃんが生まれてから1歳までの歌集と1歳から3歳の誕生日までの詩集を印刷所でつくって、3歳から学校へ上がるまでの3年間がここでお世話になった最初の本ですね。
Parade Books 何が一番大変でしたか?
著者 何て言ったって、すぐに忘れちゃうから。杏奈ちゃんはもっと一杯素敵な言葉を言ってくれてたのに、全部ザルみたいにぬけたことが一番残念。メモしておこうと思って、鉛筆取りに行ったら、「あれ、なんだったっけ?」って。で、杏奈ちゃんに「悪いけどなんだったけ?もう一回言ってくれる」って言ったら「おばば、何言ってるの?あたしのこと書かないでくれる?」って(笑)。杏奈ちゃん語録の8割は取りこぼしてる。
Parade Books でもだいぶボリュームのある本になったし、充分実のあるものに仕上がっていると思いますよ。書くのは大変だったんじゃないですか?
著者 私、昔はね、何千通って手紙を書いたの。しかも、大学ノートに写してとってあるの。紙に下書きして、それを大学ノートに書いて、それを便箋に写す。「あら、この人、また同じこと言ってきたわ」ってことになったらいやだから。だから手紙が全部残ってるわけ。2冊目の本にした恩師の酒井先生。先生には3,000通ぐらい書いた。
Parade Books わぁ、手紙のプロですね。
著者 だから書くこと自体は大変じゃないんだけど……。でも、前後が交錯してると思うのね。この話とあの話の帳尻が合わないってことになってないかしらって。忘れっぽいもんだから、それを確認していくのが大変で。
Parade Books でも、文章はおっしゃるほど直しはなかったですよ。
著者 そうですかぁ。でも、短歌がねぇ、31文字ってごまかしがきかないし、あとから見直して初めて、大変!同じ言葉を使ってるじゃないってね。あれは苦労しました。
Parade Books だくさん歌をつくっていると、少しは似たものができてしまうものではないんですか?
著者 特に私は多いんですよ。一回使った言葉を同じ本のなかでまた使うと、やっぱり新鮮さがなくなりますよね。ベテランさんは、いっぱい引き出しがあって、適当な違う言い方がすぐ出るんだけど、私なんか引き出しがないから、えーどうする?ボツにするしかないか、ってなっちゃうのよね。
Parade Books 難しいですね。他に感じたことはありますか?
著者 大変だなぁ、エネルギーいるなぁって思った。量が多かったからね。100ページ位だったらそこまで思わなかったかもしれないけど、500ページだからね(笑)。だいたいね、私の本性は欲張りだから、たくさん入れたくなっちゃうんですよ。
Parade Books 知ってます(笑)。でも、それだけ想いをたくさん持ってらっしゃるってことですよ。
著者 自分も大変だったけど、差し上げた方には「薄い本なら見る気もするけど、厚いと見る気もしない」って言われた(笑)。でも、みなさん、書けるってことはいいことね~って言ってくださった。もう手紙も書かないから、本なんてとてもじゃないけどムリ、書けるのはいいことよ~って。
Parade Books 文章で残すのは、素敵なことだと思います。
著者 言いたいこと言ったって、口で言ったことみんな消えちゃいますもんね。私は言いたいことはしっかり書いておきました(笑)。私、自分で国会図書館に収めているのよ。この間は、国会図書館で本を読むにはどうすればよいのか知りたくて、カードもつくってもらって体験してきた。ああ、自分の本もちゃんと置いてあるんだって確認して帰ってきました。
Parade Books 出来上がった本を見て、お孫さんも喜んでくれましたか?
著者 う~ん、読んでないみたいなのよね。まだ小学生だから、よくわからないこともあると思うんだけど、大人になったときに、わかってくれるといいなと。だから私は娘に渡しておいて、杏奈ちゃんがお嫁に行くときに、この4冊は必ず花嫁道具の中に入れてくださいって言っているの。それに、いくら記憶力が良くたって人間だから。小さいころの杏奈ちゃんが言ってたことも、忘れてしまうと思うのね。私の本を読むことで、あーこんなことも言ってたなって思い出せると思うの。そのありがたみをわかってくれるといいのよねぇ。
Parade Books ご自身ではどこが気に入ってますか?
著者 2冊とも気に入ってるのは、中身は自分の文章だからどうにもならないけど、表紙ね。『あの日あの時』の表紙は、杏奈ちゃんが4月に産まれたから桜でね。『想い出の記』は、先生との付き合いがはるか長く続いたんだから、半世紀続いたんだからという気持ちで、道の写真。いい写真を選んでもらえて良かった。
Parade Books パレードブックスで本をつくってみて良かったことは?
著者 何度も何度も第5校まで重ねたからね、得心、私なりの得心ですけど、本にできて良かった。嬉しかった。私ね、残すのが好きなの。「なんも残さないのがいい」って人もいますよ。でも私は残したい。絶対なくならないように国会図書館に入れてね。もう置いてきたから、大丈夫(笑)。
Parade Books 修正が何回もできるのは、うちが一番大事にしてるところなんです。他の出版社さんは3回までとか決まってることが多いんですよ。
著者 あらホント?!私聞こうと思ってたの、5校って多いの?
Parade Books ちゃんと組版してからは5校でしたけど、その前に何度もやり取りしてますから、あわせたら10回以上やってますよ(笑)
著者 あらそう(笑)。そこが良かった。あとは、写真もいっぱい入れてもらって。文章だけで読ませるなんてプロじゃないと無理でしょう。私なんかド素人は、写真を入れて、写真につられてページをめくってもらわないと。他の出版社では、私の意見を取り入れてくれなかったの。私は、ところどころに写真をちりばめたかったのに、写真は全部まとめて前に持ってきてって言われたのね。
Parade Books その方が安くできるし、製本の間違いも出にくいからですね。
著者 私はそれが気に入らなかったの。それで、その出版社はやーめたって。面倒なのかなと思って。出版社が主人公じゃないんだからねぇ。自分のお金でつくるんだから、ある程度こっちの希望を聞き入れてもらいたいなと思う。無理じゃないことなら、気持ちを汲んで添ってくれると。その点パレードさんはほんとに良かった。
Parade Books 好きなようにできましたか?
著者 好きなようにさせてもらいました(笑)。それに、こんなところ(表紙の袖)に写真を入れられるなんて、あなたに言われるまで知らなかったし。生涯で本つくるなんてそんなにないことじゃない?
Parade Books 著者のつくりたいように、さらには思ってた以上の仕上がりにっていうのがうちのポリシーなんです。河合さんにもよろこんでいただけて良かったです。
著者 ほんとにお願いして良かったわ。
Parade Books 本づくりを人に勧めたいと思いますか?
著者 自分の想いや考え方を残したいと思うなら、私は本をつくるのがいいって思います。遺書じゃないけど、私はこれ半分遺書だと思ってるからね。いろんなこと書いたけど、ほんと全部私の願いであり、祈りなのよ。遺書なのよ、私としては。
Parade Books 時間が経って熟成して、お孫さんに伝わっていくことを願っていますね。今日はありがとうございました。

河合洋子(かわい ようこ)
東京都出身。疎開先の福井で幼年期を過ごす。
お孫さんが生まれたことをきっかけに、写真や短歌を含めたメッセージを本に。現在まで4冊を制作。

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