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宮崎ツヤ子さん

14「百年カエル」なにわのつきさん

「百年カエル」

ジャンル:小説 発行:2018年7月

「百年カエル」

小学4年生の夏休み。母親の田舎である和歌山に帰省した託未は、庭で大きなカエルとぶつかり、意識を失ってしまう。次に気づいたときにはなんとカエルに変身していたからビックリ!しかも、時代は80年前?!先祖と時を繋ぐ壮大な冒険譚。

一匹のカエルとの出会いから生まれた物語と絵が、家族と故郷を繋ぐ一冊の本になりました。

Parade Books はじめて読んだときから、少年がカエルに変身したうえにタイムスリップして、先祖を80年間見守るという物語に驚き、感動しました。この奇想天外な物語はどのようにして生まれたのでしょうか?
著者 和歌山の実家に家族で帰省したとき、一匹の大きなヒキガエルに出会ったんです。そこでこの物語がひらめきました。私は作詞家として活動してはいるものの、小説を書いたことは初めて。書き上げることができたのは、自分の家族や先祖についての物語で、取材する必要もなかったというのが大きいと思います。もちろん、事実をそのまま書いたわけではなくて、よくわからないところは想像で補ったり、あえて事実と異なる設定にしたところもあります。
主人公のモデルでもある息子は画家なんですが、示し合わせたわけでないのに、同時期にそのカエルをもとに絵を描きはじめていて、それが表紙の絵なんです。不思議ですよね。
Parade Books 物語も絵もとてもクオリティが高いですが、賞に応募したり、商業出版にチャレンジするということは考えなかったのでしょうか?
著者 初めて書いた小説だし、もともと孫に読ませるためにまとめようとしか思っていなくて。てっとり早く出版するなら、自費出版だな、と。直接打ち合わせできるところがよくて、近くの出版社を探したら、自転車で行ける距離にパレードブックスさんが見つかって。さっそく原稿をもって相談に行ってみました。出てきた見積もりが思っていたよりもずっと安かったこと、オフィスがお洒落で信頼感があったこと、対応も任せられると感じたのですぐに申し込みました。
Parade Books ありがとうございます。実際に本をつくってみていかがでしたか?
著者 紙見本を見ながら本文の用紙を選んだり、表紙の加工について相談したり。何度も打ち合わせをしながら進められたのはよかったですね。
あとは、編集オプションの校正校閲に感動しました!物語に紀南パレスという実在のドライブインが出てくるのですが、「去年の夏、帰りに昔の道を通ったら、廃屋になっていたよ」と書いた箇所について、「2007年には更地になっていたようです。『去年』ではなく『何年か前』に?」という細かく調べないとわからないような指摘までいただいて。それまでにも家族には何度も読んでもらっていたのですが、レベルの違う指摘を受けることができて驚きました。値段から考えると本当にお得だと思います。
Parade Books パレードブックスでも誤字脱字や表記統一など気づいた点はできる限り指摘させていただきますが、校正校閲は専門技能。ご利用いただいたオプションでは、大手出版などの仕事も手掛ける専門の業者に依頼させていただくので、原稿の完成度が格段に上がります。
著者 実は息子の挿絵がなかなか完成しなくてやきもきしたのですが、この期間を使って校正校閲を受けたり、私自身も何度か読み返すことができたので、結果としてはよかったです(笑)。
Parade Books ご子息の釜匠さんは人気作家で、ご多忙ですものね。いよいよ挿絵が仕上がったときは、物語のぴったりの世界観で、鳥肌がたつような感覚がありました。私もお邪魔させていただきましたが、出版直後に京都で行われた原画展も盛況でしたね。
著者 原画展でも本を販売しました。あのあと、私の母校でも原画展を行ったんですよ。書店流通をしても本は売れないだろうと考えて、アマゾンだけの販売にしたのですが、それでも毎月数冊は売れていますね。レビューにも、知り合いではなさそうな方の書き込みがあって、思いがけない広がりに感激しています。あとは私が経営しているカラオケ店での販売がメインですね。なぜか複数冊買ってくださる方が多くて。「10冊くれ!」なんて方もいらっしゃいます。
Parade Books 複数冊買う方の気持ち、とてもよくわかります。実は私も個人的に購入して甥にプレゼントしました。中学1年生ですが「面白くて一気に読んだ!」と興奮していました。誰かに勧めたくなる物語です。
著者 あちこちから嬉しい反響もいただいています。面白いエピソードでは、本のなかに登場した「たかはら」という和歌山の宿泊施設に家族で行ったとき、「この子が本に登場する○○くん?」とちょっとしたスター扱いを受けました(笑)。
Parade Books 和歌山の地域史も描かれているので、地元の人にとっては思い入れもひとしおでしょうね。出版によって故郷とご家族との繋がりも深まっているようで素敵です。
著者 先日、地元の小学校の校長先生からお手紙をいただいて、本のなかで戦闘機が墜落して、アメリカ兵が捕虜になるというシーンについて、そのアメリカ兵についての資料らしきものが残っているとおっしゃるんです。場所も同じだし、おそらく間違いないと思うのですが、資料ではアメリカ兵は処刑されたとあるそうなんです。でも、私が聞いた話では、戦後、そのアメリカ兵が村を訪ねてきているんです。今度お会いしてお話するので、何か新たなことがわかるかもしれません。
Parade Books それはすごい!ぜひ続報を教えていただきたいです!
著者 忙しくてなかなか実現できていないのですが、平日に和歌山の自治体を訪問して、本をPRするという計画もあるんです。まずは原画展を開催できると嬉しいですね。
Parade Books 自治体から話が広がってアニメ映画化ということも夢ではないと思います。微力ながら弊社からも自費出版文化賞に応募させていただきました。ぜひ大賞をとって認知度を高めてもらいたいです!

なにわのつき(浪花乃 月)
1957年大阪府大阪市に生まれる。1975年大阪市都島工業高等学校卒業。作詞家として活躍中。表紙と挿絵を担当した画家の釜匠氏は実の息子。

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