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宮崎ツヤ子さん

15「哲平くんと宇宙人」いけかつまいこさん

「哲平くんと宇宙人」

ジャンル:絵本 発行:2019年5月

「哲平くんと宇宙人」

引っ込み思案な小学生の哲平くんは、学校に行きたくないと泣いていたところを宇宙船にさらわれて知らない惑星にたどり着きました。そこでは毎日がパーティーみたいで楽しくて有頂天になりました。でもあるとき大事なことを思い出して...。家族や友達の大切さに気付く、大人になっても読みたい絵本。

出来上がってしまうのが惜しいくらいに本づくりのやりとりが楽しかったです。

Parade Books 最初の打合わせでは、短い物語でワード3枚分のプリントアウトをお持ちになって「これを本にしたいんです!」とおっしゃっていましたね。絵本にするか児童書にするかも決まっていなくて。
著者 私はアートセラピーの教室をやっていて、あの物語は生徒さんを励ますために書いたものだったんです。それをブログに載せたりコピーしたものを教室で配ったりしていました。物語をつくったことで完結していたので、絵本と結びついていなかったんです。
Parade Books そうだったんですね。物語だけで完結していたとは!
著者 教室だけじゃなくて、「あのときの童話をみんなに見せてあげよう!」と思って絵の個展でもコピーしたものみんなに配っていたんです。それを見た人から「どうせだったら絵本にすればいいのに~」という声がチラホラ耳に入ってきて、「そう言ってもらえるなら、やっちゃおうかな~」って。それが絵本出版に決めたキッカケでした。絵本を出すこと自体は幼稚園のときからの夢でしたし。こんな時間がかかってしまいましたけど。
Parade Books いけかつさんの活動のいろんな要素があわさって生まれた絵本ですね。文章のつくり方に特別な手法があるんですか?
著者 私は「自分自身が幸せで、周りの人にも幸せになってもらいたい」という、生きるうえでのテーマを持っていて、常にそのことを思いながら過ごしているんです。すると、物語や絵のイメージが降ってくることがあって。そのときにバーッと書いちゃうんです。もともとは生徒さんに向けて書いたんですけど、出来上がったときは自分自身に向けて書いたような気もしたし、家族や友達に向けているような気もしました。
Parade Books 絵を描いている最中や描き上がったときの気持ちはどうでしたか?
著者 もとになっている宇宙人の絵は、実は27年前に誕生しているんですよ。『哲平くんと宇宙人』の絵は描き起こしですが、すでにいたキャラクターたちを組み合わせて描いていったので、パズルのピースを組み合わせるような不思議な作業でした。日本画で描いてみたり多少試行錯誤したんですけど、かわいくて手に取りやすい本にしたかったので、版画+顔彩に決めました。
Parade Books いけかつさんがこの絵本に込めた思い、読者へのメッセージなどお聞かせください。
著者 この本を読んで元気が出たり、愛を感じて周りの人たちの大切さに気付いていただけたらそれだけで嬉しいです。絵も1枚1枚じっくり描いたので絵画としてもお楽しみいただけたら嬉しい。最初は大人に向けた、子育て世代のお母さんに読んでもらえたらって思っていました。何をするかわからない子供たちをかわいい宇宙人に見立てて、お母さんが癒されてくれたら。子供たちは文章が理解できなくても、絵を見て宇宙人かわいいなって思ってくれたらいいなと。
Parade Books 宇宙人を子供に見立てると何だか面白いですね。自由な宇宙人は大変な存在なんだけど、かわいいし楽しいしみたいな。思い入れのあるシーンやお気に入りはありますか?
著者 全部お気に入りだけど、最初の宇宙人のキャラクターが版画でうまくいったので、これがなかったら版画という手法を取らなかったんじゃないかと考えると(うら表紙を指して)コレかな。絵としては地球が泣いている絵ですね。この本は色調の明るい絵ではなく、どちらかというと暗めなんです。あえて暗めにして、普段自分だったら見せたくないような泣いているところを美しいと肯定してもらえたらいいなと思っています。
Parade Books 主人公の哲平くんも地球も、最後には笑ってくれてよかったです。
パレードブックスのサービス、費用や校正のやりとり、スタッフの対応はいかがでしたか?
著者 費用は少し調べただけですが安くて良心的でした。私は出版のことは何もわかっていなくて、ただただ良くしていただいたという感想です。私自身が満足・納得いくまで通って、直接会って話してというやりとりを繰り返せたことが良かったです。それに付き合っていただいて楽しかったですし。
Parade Books 毎回ご来社いただくのも逆にご足労かと心配していたのですが。私も直接打合せできることで細かいご希望や好みが理解できて、よりスムーズに進められたと思います。
著者 用件自体は5分10分で終わって、あとは帰りがたくて2時間3時間話すっていう(笑)。そのときに決めないといけないことはすぐに決まるんですけど、そのあとの会話から生まれる次にすべきこと・やりたいことが結構重要な感じでしたね。結果は大事ですし、結果が出れば嬉しいですけど、プロセスにときめきとか宝物があったりします。
Parade Books ひとりで作品と向き合っていると迷いが生じたりしますからね。会って話をしていくなかで解決したりより良くなったりするので、私もご来社くださるのは大歓迎です!
著者 出来上がってしまうのが惜しいくらいに本づくりのやりとりは楽しかったです。完成本を手にしたときは嬉しかったのと、完成したことで終わったような気持ちになって寂しくもなりました。完成後は自分自身で書店へ行って営業して…こちらはなかなか難しかったです。だんだん書店さんの方針や個性がわかるようになったりしました(笑)
Parade Books 周りの方の反響はいかがですか?
著者 ある地元の書店さんでは「これは良書だ!」って惚れ込んでくださって、常設していただいています。地元の大手書店でも展開してくださったり、販売の戦略会議なんかもして。「本は黙っているから、いくら良書でも宣伝してあげないといけない。もっとPRしよう」って話になったり。ほかには、保育園や学童教室、こども食堂、カフェなどにも置いていただいて、大人から子供まで読んだ方々からたくさんの感想が届いています。Webで「大人向け絵本20選」に選んでいただいたりもしました。
Parade Books 大好評ですね!
著者 最初の目的はセラピーの生徒さんに渡すための出版だったんです。あとは個展の横に置いておこうかな、とか。書店流通オプションはとりあえずつけておいて、ゆっくり売ろうと思っていました。だけど、出版後のみなさんからの反響や寄せられる感想がきっかけで、「広く知っていただきたい」「たくさんの人に読んでもらいたい」と思うようになりました。つくっているときは販売のことを考える余裕がなかったのですが、キャラクターのグッズ化とか続編とか次々にアイディアも生まれていて。当初からは考えられない(笑)
Parade Books 出版パーティーにおうかがいしたときに、『哲平くんと宇宙人』出版をみんなが喜んでいて、私もこんな愛されている絵本づくりにたずさわれて誇りに思います。ありがとうございました!

いけかつまいこ
創形美術学校グラフィックデザイン科卒
後にキャンディアイスラッガー、ジ・アプリコッツ、ペティブーカ等で音楽活動を行う。
2007年よりアートセラピストとして活動。現在は音楽、塗り絵、イメージ、創作を交えた講座を開催している。プライベートでは日本画、書道に励み個展などを開催。
2018年8月 日美展入選、同年10月 新日美展入選
ブログ 
https://ameblo.jp/maiko-bigbang
Instagram 
https://www.instagram.com/maikoikekatsu

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